YAS Person | Interview

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16 アクサルタ コーティング システムズ合同会社(後編)

前回はYAS(ヤナセオートシステムズ)とアクサルタ(旧デュポン社)が強いきずなを構築してきた歴史についてお聞きし伝えてきた。
その中でも水性塗料の普及に関しては、かなりの苦労を強いられてきたこと、その内容は衝撃的であり、第一世代の水性塗料と呼ばれるスタンドハイドの全国展開に関しては断念しているという話だ。しかし現在は水性塗料であるスタンドブルーを使用し成功している。その背景にはどのような対応策があったのだろうか。前回の続きから今後の塗料業界のあるべき姿までYASとアクサルタの想いを紹介してゆく。

アクサルタ

早川:スタンドハイドの全国展開こそ一度はあきらめましたが、その後YASとアクサルタ(旧デュポン社)が協力しながら塗料の改良を重ねて、第三世代の水性塗料クロマックスプロの導入を、2012年にBPセンター三郷(旧BPセンター戸田)にて開始しました。我々は水性塗料の導入を諦めなかったのです。クロマックスプロを使用しながらデータや技術を蓄積してゆき、2014年、ついに現在メインで使用している、スタンドブルーの導入を開始し始めたのです。 スタンドブルーはスタンドハイドと比べてとても施工がしやすくなりました。しかし水性塗料がデリケートという部分に関しては変わりありません。日本は縦に長く温度湿度も様々なので、北と南の工場では輸送や保管に関しても、徹底管理しなければなりませんが、それも長い間水性塗料に携わってきた経験の蓄積によって今では対応できるようになりました。現在ではすべての内製工場においてスタンドブルーを使用しています。

國宗:アクサルタが研究開発した最新の塗料でいえば、湿度を使って乾燥させる塗料も発表しています。これらは作業時間を短縮でき、結果的にエネルギーコストを下げることにも貢献します。地球環境の保全ということをベースに考え、トライアンドエラーを繰り返し、新しい塗料開発を続けているのです。

國宗
早川

早川:そもそもYASは車本来の性能へと戻すことを目指しています。つまりは純正で使われているものと同じか、それと同等のものでなければなりません。だからこそメルセデス・ベンツが公認しているスタンドブルーを使用するということも重要だと考えているのです。「耐擦傷性クリヤーコート(ナノ粒子クリヤーコート)を例に挙げますが、例えば大切にしている車に傷がついてしまいそれを修理に出したとしましょう。他社の塗料を使った場合、再塗装が施され仕上がってきたばかりであれば、その違いはわからないかもしれませんが、経年での変化や洗車を繰り返すなどのことにより、先々で補修箇所とそうでない場所での違いが露呈してくる可能性もあります。その時のオーナーの気持ちを考えると、やはり品質や技術の面において妥協することは許されないと思うのです。

輸入車、とくにメルセデス・ベンツをはじめとしたプレミアムカ—ブランドの塗装に関して、日本の塗料ブランドとの違いなどはあるのでしょうか。

國宗:塗装作業そのものの基本的な工程は同じものですが、欧米の環境意識の高さや、仕上がりに対する執着というものはアクサルタならではだと思います。コストはかかりますが企業としてのポリシーがあるのです。

國宗

早川:YASでは10か所の内製工場があり、専業板金塗装工場と契約内製工場さらにその他も含めると、250社もの工場と契約しております。日本のユーザーは世界的に見てもシビアだと言われており、高い要求に対応することのできる技術者が多いことも特徴です。その人たちにとっても扱いやすく、さらには質の高い塗装を行ってもらえることも重要なのです。現在、塗料の原色は100色弱のラインアップがあり、多いものでは10色を混ぜて作り上げるものもあります。中には純正色であっても出にくい色があり、そういったものはパネルを送ってもらいアクサルタさんへ依頼し調色データの作成をお願いすることもあります。そういった面においてもアクサルタさんのサポートはとても重要になっており、アクサルタ、YAS両社のつながりは非常に強いものとなっています。

國宗:アクサルタでは近年、毎年新原色の発表を行っています。一方でラインアップから外れる原色もあります。新しい取り組みを行いつつトレンドに乗るということもあります。最近では日本車のようなポップなカラーリングも欧米では増えてきました。とはいえ、メインとなるのはブラック、ホワイト、シルバー系の3色で、その中でもパールホワイトは根強い人気がありますね。自動車メーカーと異なるのは、補修用のために長い期間同じ塗料をストックしなければならないことでしょうか。年式の古いクルマの補修にもしっかりと対応できるようにしています。

アクサルタそしてYASが考える塗装業界の未来図があれば教えてください。

早川/國宗

早川:ヤナセでは水性塗料の使用を推進していますし、いずれはもっと広がることでしょう。それとカラーデータをはじめとしたデジタル化が進んでいます。YASの持つネットワークを通じて塗装業界全体をよりよくしていきたいと考えております。

國宗:カラーデータのデジタル化ということに関しては、昨年アクサルタでは最新の測色器「アクワイヤークアンタムEFX」を発表しました。軽量簡易で光輝材の自動選択やWifi通信機能などを備えており、調色をよりしやすくしています。そして日本では2000年代後半に入ってから、やっとハイソリッド塗料や水性ベースコートが使われ始めましたが、まだまだ溶剤の使用率が高く、水性を使用している比率は全体の6~7%程度です。塗装業界の将来を考えると、このように自動車オーナーの満足度や環境問題への取り組み、そして補修現場での効率を高めてゆくことなど、多方面にわたって課題をクリアしていかなければなりません。

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