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05 板金・塗装の頂点に挑んだ男たち
BPセンター茨木について語るスタッフ

『BPグランプリ』で優秀な成績を残した3名のメカニック岡平拓也、岡井良太、浅野宏典を生み出したBPセンター茨木とは、いったいどのような職場なのだろうか。その疑問を胸に同センターを訪れてみると、きっと多くの人が板金・塗装からイメージするであろう、“雑然とした工場”の印象はなく、すみずみまで掃除・整理整頓が行き届いた清潔感のある光景が広がる。また出迎えてくれたスタッフたちは一人ひとりに明るい笑顔であいさつをしてくれる。非常に爽やかであり、いわゆる“無口な職人気質”という印象はみじんも感じさせない。BPセンター茨木では、なにやら独自の哲学のもと、板金・塗装業界に新しい息吹を吹き込もうとしているという。工場長森裕之、板金チーフメカニック静憲一、塗装チーフメカニック岡本拓也に、組織、環境、教育などにおける取り組みを紹介していただくとともに、同センターが目指すものについて訊く。

新時代を迎えた自動車業界にマッチしたサービスを提供するため“工場の若返り”を目指す

静:BPセンター茨木で働くスタッフの平均年齢は34歳。ほかの多くの板金・塗装 工場に比べて、はるかに若いと思います。ここ5年くらいはコンスタントに新卒採 用をしていて、さらにフレッシュに。若手同士の年齢差も縮まってきています。

岡本:私たちがなぜ、「工場の若返り」を求めているかというと、ひとつは時代の流れとともに自動車が進化してきていることが挙げられます。この数年、各メーカーはこぞって「エコ」「省エネ」「コンパクトカー」など、新しいコンセプトを取り入れてきています。単に「走る」ないしは「速く走る」自動車の時代ではない。一台の自動車にさまざまな複合要素が絡み合ってきているのです。それにともない、これまでの自動車で使われていた鉄板だけでなく高張力鋼板やアルミ合金、さらには炭素繊維など、さまざまな新素材が採用されるようになり、板金処理の仕方も、塗装行程も、さまざまに変化してきています。

BPセンター茨木 塗装チーフメカニック 岡本拓也
BPセンター茨木
塗装チーフメカニック
岡本拓也
BPセンター茨木 工場長 森 裕之
BPセンター茨木
工場長 森 裕之

森:そのように自動車を取り巻く環境が著しく進化する中、昔ながらの板金・塗装の技術だけでは対応できなくなってきている事実があります。各メーカーが提案する新しいコンセプトを即座に受け入れて、相応の知識や技術をどんどん取り入れていかなければならない。日進月歩の技術に追いついていくのは容易なことではありません。そんな中で私たちが期待するのは、まだまだ頭の柔らかい、若手の技術者たちです。これまでの板金・塗装業界の風潮といえば、ベテランの職人が工場の第一線に立っていて、教育は「見て学べ」「目で盗め」が基本。若手が技術を覚えようとしても「お前には10年早い」と一蹴され、なかなか新しいことを習得できず、いつになったら一人前になれるんだろう、というジレンマと闘う者も多かったように思います。しかし今、それをやっていたら時代の波に乗り遅れてしまう。また、せっかくみずみずしい感性をもちあわせた若者の成長を阻害してしまうことにもなります。私たちは「見て学べ」ではなく、積極的にクルマに触って、考え、学び、どんどん知識と技術を吸収していくべきだと考えます。わからないことは、経験を積んだ先輩たちに聞けばいい。たとえ失敗してもいいから、手を動かして、若いうちから板金・塗装の現場のいろはを体に染み付かせることが大切だと思うのです。

静:ですからBPセンター茨木では、若いスタッフたちに仕事をどんどん任せていきます。もちろん、何もわからないうちから大海に放り出すようなことはしませんよ。すこしずつ、仕事の難易度を上げながら、段階を踏んで成長していってもらうのです。私は板金チームを束ねる立場ですが、若手に仕事を任せる際は、はじめにどういう風に直すかを考えてもらって、それをじっくり聴くようにしています。そのやり方がまったくもって間違っていればやらせないですが、たとえ遠回りのやり方だったとしても方向性さえ正しければ「あなたの考える方法でやってみましょう」といって、実際に修理させます。

BPセンター茨木 工場内部
BPセンター茨木
工場内部
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